知恵伊豆こと松平伊豆守と由比正雪の頭脳戦、東映が総力を挙げたオールスター大作

徳川三国志 放映リスト

原作:柴田錬三郎  特技:宍戸大全
音楽:桑原研郎   擬斗:三好郁夫(東映剣会) 
 プロデューサー:吉津正、杉井進、佐伯明
 杉本直幸、渡辺操 
制作:NET、HTB、NBN、ABC、UHT、KSB、KBC(七局共同)&東映  ナレーター:芥川隆行
放映期間:75.10.22〜76.4.21
当時の裏番組
TBS「寺内貫太郎一家2」、フジテレビ「娘たちの四季」、日本テレビ「水曜ロードショー」

 

NO. タイトル 監督 脚本 ゲスト
1 知恵伊豆と呼ばれた男 山内鉄也 葉村彰子 田村正和、戸浦六宏、田口計
2 野望に燃える男たち 山内鉄也 葉村彰子 内田勝正、北見唯一、戸浦六宏
3 悲運の貴公子忠長 中島貞夫 葉村彰子 田村正和、内田勝正
4 若君の危機 原田隆司 葉村彰子 大木実、福本清三
白川望美、小林芳宏
5 南海のあばれ竜 中島貞夫 葉村彰子 菅貫太郎、池田駿介
成瀬正、森次晃嗣
6 白昼の三十六人斬り 原田隆司 葉村彰子、木下亮 山崎努、坂口徹、石田信之、菅貫太郎
7 江戸城悲話 田中徳三 宮川一郎 岸田今日子、汐路章、岡崎友紀
8 恐怖の火焔地獄 山内鉄也 葉村彰子 小松方正、大森不二香、川谷拓三
9 千姫と彦左と太助 田中徳三 宮川一郎 目黒祐樹、辰巳柳太郎
高田美和、伊吹聡太郎
10 柳生十兵衛を狙う男 田中徳三 葉村彰子 尾藤イサオ、村井国夫、佐藤京一
渡辺やよい、内藤武敏
11 仇討ち姉妹 山内鉄也 宮川一郎 今井健二、堀越陽子、梅田智美
北原義郎、西村晃、北村英三
12 姫君町を走る! 原田隆司 葉村彰子 竹下景子、河原崎健三、神田隆
大前均
13 家光と目黒のサンマ 原田隆司 宮川一郎 麻田ルミ、蜷川幸雄、小林昭二
14 となりの女にご用心 皆川隆之 宮川一郎 金子信雄、高城淳一、葉山良二、原良子
15 左甚五郎・昇り竜 皆川隆之 安藤日出男 長門裕之、寺田農、高木均、吉田義夫
千葉敏郎、名和宏、汐路章
16 又八郎人生勝負 山崎大助 宮川一郎 三上真一郎、田中浩、波田久夫
笑福亭仁鶴、奈三恭子
17 黒い米蔵を斬れ! 田中徳三 安藤日出男 伊吹吾朗、須藤健、北川めぐみ、中井啓輔、中谷一郎
18 美女の罠を砕け! 山崎大助 宮川一郎 和泉雅子、鮎川いずみ、梅田智美、柳沢真一
織本順吉、北上弥太郎、工藤堅太郎、北村英三
19 家光と春日局、涙の別れ 田中徳三 宮川一郎 岸田今日子、深江章喜、金子信雄
服部妙子、江幡高志
20 忍びの掟は死の掟 田中徳三 宮川一郎 村井国夫、今陽子、片桐竜次、岡田裕介
天田俊明、藤岡重慶、勝部演之
21 恐怖の十字架 清水彰 葉村彰子 ジュディオング、小泉陽子、潮万太郎、北原将光
22 幻の盗賊を追え!! 清水彰 宮川一郎 常田富士男、磯野洋子、酒井哲
23 江戸の毒を斬れ! 皆川隆之 宮川一郎 南道郎、大坂志郎、大関優子、天津敏、森下哲雄
24 将軍暗殺!宇都宮釣天井 皆川隆之 葉村彰子 沢田亜矢子、黒部進、伊沢一郎
25 由比正雪ついに起つ! 山内鉄也 宮川一郎 堀越陽子、福本清三、村井国夫
松山省二、
中田博久
26 伊豆守と正雪宿命の対決 山内鉄也 宮川一郎
葉村彰子
堀越陽子、村井国夫、勝部演之

 

松平伊豆守信綱  松方弘樹  御存知知恵伊豆。武州川越七万石城主。
柳生十兵衛三厳  若林豪  忍術使いのような面も見せる柳生家長男。
笠井孫兵衛  長門勇  信綱の家臣。
笠井弥一郎  三ツ木清隆  孫兵衛の息子。
徳川家光  片岡孝夫  三代将軍。
土井大炊頭利勝  中村竹弥  信綱のライバルで筆頭老中。
鴉の甚兵衛  松山英太郎  隠密。任務は主に情報収集。
一心太助  目黒祐樹  魚屋。出入り先は大久保彦左衛門、青山伯耆守、松平伊豆守と大名か大身の旗本ばかり。大物政商といえるかもしれない。
大久保彦左衛門  辰巳柳太郎  天下のご意見番。
     
 いけだももこ  信綱の妹。
志乃  坂口良子  一夢斎の孫娘。くの一。
お吉  和泉雅子  徳永家五万三千石の姫君。お家取り潰しを恨んで、信綱を仇と狙う。
お仲  津山登志子  一心太助の女房。
     
幡随院長兵衛  中谷一郎  有名な口入れ屋で侠客。伊豆守と昵懇という設定。
服部一夢斎  宇野重吉  服部半蔵の兄で引退して悠々自適。知恵袋的存在。
     
由比弥五郎(正雪)  中村敦夫  メラメラと野望に燃える男。
金井半兵衛  岸田森  その横で知謀を働かせる。知性を秘めた底光りする瞳。
丸橋忠弥  佐藤允  肉体労働担当。宝蔵院流槍の名手。
     
紀伊大納言頼宣  芦田伸介  次期将軍の座を虎視眈々と狙う。
根来幻幽斎  近衛十四郎  紀伊方の忍者頭領、残念なことに殺陣もあまり見せてくれない。
関口隼人正  田島義文  紀伊家家老。原作では穏健派だが、ドラマでは頼宣のお墨付きを偽造、斬られる。

【解説】

      【目を見張る豪華キャスト】

 ほかにも尾張大納言忠長=田村正和、荒木又右衛門=山崎努、春日局=岸田今日子、千姫=高田美和、伊達政宗=西村晃、青山伯耆守=金子信雄、左甚五郎=長門裕之、保科正之=仲谷昇など寛永オールスター揃い踏み。

 しかしなんといっても、ハマリ役は岸田森金井半兵衛だろう。柴田錬三郎原作での痩身の剣豪で、底なしの酒飲みというキャラクターが俳優岸田森と重なる。ドラマでは後半陰険な策謀家の役割をあてられて、いささか損な役まわりだが、原作では柳生宗矩と一騎討ちという場面も見せてくれる。

 ついでに原作小説との差異にふれると、小説ではむしろ鴉の甚兵衛、志乃、服部一夢斎vs紀州根来衆の忍術合戦がメインで描かれ、クライマックスは一夢斎vs幻幽斎の一騎打ち。慶安事変はエピローグで軽く触れられるに過ぎない。
 TVでは伊豆守vs由比正雪の対決が弱冠大味に描かれる。しかし前半7話あたりまでは意外と原作に忠実に脚色され、忠長の切腹の経緯などもそっくりそのまま。ただし原作では張孔堂の知恵袋的存在の楠不伝がTVでは好色な小悪党に描かれ、演ずる戸浦六宏さんが可哀想(笑)。

 主役の松方弘樹は、押さえた演技で知恵伊豆を演じている。ちょっと大河ドラマの勝海舟をひきづった役作りか。近衛十四郎目黒祐樹と三人並んだショットがなかったのが残念。

 慶安事変の主犯といえる由比正雪に、俳優座での造反事件が有名な中村敦夫(参謀格だったらしい)が扮しているのは面白い。どことなく器量が計り知れない感じのするそのキャラクターが役柄に合っている。槍の名人丸橋忠弥を演じる佐藤允も、東宝時代の豪快さを久々に見せる。
 ただ東映の伝統か、反逆者を魅力的に描くのにあまり熱心ではないのも確か。後半はこの魅力的なトリオも紀州公(先日亡くなった芦田伸介)の飼い犬同然になってしまうのが残念。原作では、紀州・幕府・張孔堂と並んで三局を成すという鼻息の荒さであるのだが・・・・・(さしずめ劉備玄徳=由比正雪、関羽=金井半兵衛か)。謀叛トリオの活躍する回では、#8が面白い。
 インチキ修験者の鉄誠道人(小松方正)を誑かして、道人が焼身成仏するイベントを開催。お布施を集めさせたうえに、実際に焼き殺してしまう(^^;)。しかも集めた浄財は、人気取りのため医療院の建設に使う。悪のさらに上を行く極悪の世界。
 こちらを主役に据えたほうが面白かったかも?

 ゲスト出演者では、山崎努の荒木又右衛門がファン必見か。ほかにも#9では、殺陣巧者伊吹聡太郎vs辰巳柳太郎&長門勇の変則タッグマッチが見物。きれいどころでは、#11「仇討姉妹」に出てくる梅田智美、堀越陽子。珍しく共闘態勢の伊豆と張孔堂の手助けで仇を討つのだが、その後、姉のほうは薄墨太夫として伊豆守の諜報活動の手助け。妹のほうは張孔堂で正雪の身の回りの世話をするという展開。#24で根来忍者を演じる、まだ無名時代の沢田亜矢子も珍しい。

 #22が川越船頭に伊豆守に恨みを抱く盗賊一味が潜入して・・・・という筋書き。川越在住の方は必見であろう(?)。江戸との水運を開いた伊豆守の功績にも触れられて、興味深い。

 【終盤の展開】

 24話で家光が心臓病で急死、日光代参に出向いた身代わりの伊豆守が、根来忍者の仕掛けた吊り天井の犠牲になりそうになる。総登城を宣した伊豆、保科正之(仲谷昇)は家綱の将軍就任を諸侯のまえで宣言。これに剛胆な紀州公もイッキに日和る。
 続いて25話で伊豆守のスパイ工作が功を奏し、正雪一派の紀州担ぎ出しが完全に水泡と帰す。関口隼人正はトカゲの尻尾切りとばかりに、紀州公に斬られる。

 正雪一党は海外脱出を計り、丸橋忠弥は仲間を逃がすため、張孔堂に火を放って捕方と大立ち回り。猛火のなかで呵々大笑して死ぬ(カッコいい!)。ついでに忠弥の弟子を演じる松山省二は兄松山英太郎と兄弟対決。やはり自爆して果てる壮絶さ。そんななか根来忍者群(村井国夫、黒部進ら)は義のため、張孔堂一派と命運を共にすることを決意。弟子たちの造反に怒る幻幽斎(近衛十四郎)はあっさりと斬られる。
 26話では、金井半兵衛は狂鬼人間のごとく突撃。全身に銃弾を浴びて死ぬ(カッコいい!)。正雪は伊豆守に浪人対策の見直しを迫って自刃するが、これではやはり謀反側を応援してしまうな。この最終二話はなかなか盛り上がるので、佐藤允ファンと岸田森ファンは必見。
 

    

 

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